旨辛が教えてくれる、味との向き合い方
- L&L 株式会社
- 18 時間前
- 読了時間: 1分
日本の料理には、「味を当てにいかない」という考え方があります。はっきりさせすぎず、説明しすぎず、食べる側に委ねる。その姿勢は、旨辛という味にもよく表れているように思います。
辛さは本来、とても分かりやすい要素です。しかし日本的な旨辛は、その分かりやすさをあえて抑え込みます。ひと口目で驚かせるのではなく、食べ進める中で「気づけば体が温まっている」程度に留める。その控えめさが、結果として料理全体の印象を深くします。
また、旨辛は集中して食べる料理でもあります。早く食べるより、少し間を取りながら味を確かめるほうが、その良さが見えてくる。香り、舌触り、後味の変化。辛さは常に中心にあるわけではなく、時折顔を出しては、また静かに引いていきます。
日本の食卓では、料理が主張しすぎないことで、食べる人の感覚が主役になります。今日の体調、外の気温、その日の気分。旨辛は、それらを映し出す鏡のような存在なのかもしれません。
派手さはなくても、確かに記憶に残る味。旨辛が長く親しまれてきた理由は、そんな「余白」にあるように感じます。


コメント